これは、先ほど述べたように、超微量で人体に影響を与える、というその環境ホルモンがもつ性質によります。それまでの分析では無視されるレベル(一兆分の一グラムなど)の合成化学物質が与える影響を、誰もが軽視しており、その影響に気づいたときには、身の回りには環境ホルモンで汚染されていた、というわけです。さらに、従来の分析では、特定の化学物質が生物に有害であるかどうか、という基準が直接的な毒性にのみ限られていた、ということも理由の一つでしょう。しかし、環境ホルモンは直接的には毒性をもっているわけではありません。たとえば、マウスにある一定量を投与したとしても、それが原因でガンを発生させるわけでも、死亡するわけでもありません。そのため、この化学物質はセーフ、といった判定がされ、一般に認知・使用されるような許可が下りていたわけです。本当は、これら環境ホルモンが間接的に悪影響を及ぼしていることも知らずに・・・。気づいたときには、生物の生殖器に変化を与えるほど環境ホルモンが蔓延していた、というケースが多々報告されています。では、どういった悪影響があるのか、ということに関して、次に少し例をあげて紹介してみましょう。
農薬が原因であると考えられる、ワニのメス化。ペニスが正常なオスよりも、四分の一〜二分の一程度小さくなっている。また、卵の孵化率も低下。
アメリカの湖で飼育されていたミンクが、不妊のために全滅。
ピューマのメス化。原因は不明だが、体内から合成化学物質が検出。
ハクトウワシのメス化。アメリカフロリダのハクトウワシのオス80%が、生殖能力をなくしていた。DDTなどが原因か。
日本周辺の巻貝の一種、イボニシのメスの大部分が、オス化してペニスができていた。魚網や船底の防腐剤として利用されていた有機スズ化合物が原因ではないか、とされている。
これらは一例です。その他、ヒトへの影響として、過去50年間の人間の精子数が半減している、という研究もあります。環境ホルモンが原因ではないか、と言われていますが、決定的な結論が出ているわけではありません。
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